「澁澤龍彦 幻想美術館」

 この催しが関西に来ないなんて、大変惜しいです。
私は、偶然にも札幌の開催中に帰省出来たので、なんとか行けましたが、
住んでいたら、あと一回はゆっくり堪能したいほど、素晴らしい内容でした。
風と共に去りぬ」と「嵐が丘」「ジェーン・エア」等々やSF小説が愛読書だった十代の私が、丸善で「夢の宇宙誌」を見つけたのが澁澤龍彦にはまるきっかけでした。
彼の本は高価なのと、近所の市立図書館は殊勝にも澁澤本が充実してましたので、よく借りては、時には怖々、時にはにんまり、時にはこんな人もいたのかあ〜と感嘆して読み耽りました。
特に最後の感想が一番です。
 
 今回その澁澤龍彦氏のお気に入りの画家(古今東西を網羅!)や、若い頃関わった演劇や雑誌、舞踏などの集団の当時の記事やポスターや、今では大御所どころとなった友人たちの作品など、充実ぶりが半端じゃないのです。
私はこっそり「シブサワタツヒコ」になった気分で展示会場を一望してみました。
するとなんとも言えない至福感におそわれました。
大好きな芸術作品群、友人たち、一生を貫く評論や小説の紹介(もちろん原稿もあります。)は、どれも澁澤龍彦氏の人生を全肯定賛美しているかのようです。
金子國義氏の一連の初期作品も、四谷シモン氏の「天使−澁澤龍彦に捧ぐ」もこの展覧会故の登場でしょう。
こんなに愛された作家もいないのでは?
私自身も「裏教科書」と呼びたいお方でした。
澁澤氏の本を読み、沢山の作家、美術家、歴史を知るきっかけとなりました。
最近はご無沙汰でしたので、特に昔大好きで展覧会にも行った「ピラネージ」のエッチングを何点か鑑賞出来たのが、懐かしくまた、うっとりしました。
また、難解な事柄も、常に平易な文章を心がける作家でした。
これも、今も若い世代に読み継がれる一因だとと思います。
 展示作品は、こちらの札幌芸術の森美術館*1のサイトに詳しいです。

澁澤龍彦 幻想美術館

澁澤龍彦 幻想美術館