森茉莉

森茉莉」というと永遠の乙女アイコン的存在ですが、なかなか侮れない手強い女性です。
19才で父森鴎外の訃報を渡欧先で聞き、84才で亡くなるまで、父が理想の男性だった森茉莉
随筆は、15才で結婚する以前の幸せな子供時代の思い出が多く、その美しい優雅な暮らしぶりに憧れて他に手を伸ばすと、人生の大半が銭湯通いで一人暮らしのおばあさんが森茉莉でもあるのです。
 小説がとっても絢爛豪華な表現に満ちていて、さっぱり系の私は濃すぎて拒否反応がでてしまいます。
でも好きなことしか努力しない姿勢を貫き、おばあさんになってもでも美しいものしか見えない審美眼をもち、家族がありながら、金銭をこだわるわけでもなく(と、思える)森茉莉は心豊かに暮らしたんだからなあ。たいしたものだと感心してしまう。
一番私が森茉莉が情熱に満ち強いなあと思うのは、58才で「恋人たちの世界」を書き、72才で「甘い蜜の部屋」を刊行していること。
私が濃くて未だ読めない「甘い蜜の部屋」は61才から71才の作品なんです。
自分しか見られない夢を見ることが出来るという自信、強さが森茉莉さんには感じられ、そこが魅力です。

 ユリイカ12月号を今読書中ですが、「私お会いました。」自慢が減って全体像を追求しているのがよかったです。
この特集号に際して、早川茉莉さんの愛情ある奔走ぶりが見え隠れします。
森茉莉かぶれ」もお正月に読みたい本です。

ユリイカ2007年12月号 特集=森茉莉

ユリイカ2007年12月号 特集=森茉莉

森茉莉かぶれ

森茉莉かぶれ