「ジョカへ」

久しぶりに大島弓子先生の漫画「ジョカへ」を再読した。
頁いっぱい花が咲き乱れる、目にきらきらした星のある主人公少女漫画の王道を行きながら、かわいさだけに終わらない。
少年シモンは誤って未完成の性転換薬を服用し姿を消す。
そして数年後「男でもあり女でもあるこの世の客のソランジュ」として現れる。
生き生きした動きのあるひとコマひとコマは映画を見てるようでもあるし、
ゲーテファウスト」の一節「略-永遠に女性なるもの われらを天上に引きよすなり」を効果的に使っているところや、ビアズリーを彷彿するシーンもある。
ソランジュはデヴィッド・ボウイの「ハンキー・ドリー」のジャケット写真がモデル(あるいは発想)ではないだろうか?
「ジョカへ」連載とボウイの初来日が1973年。
当時大島先生がボウイファンなのは有名。
絵柄は別に似てるわけではないが、来日当時のボウイの言葉に「アンドロギュノス(両性具有)を意識している」とあり、ジャケット写真の「この世の客っぽいボウイ」にインスパイアされてできた作品では?と今になって思ったのでした。

Hunky Dory

Hunky Dory

最初に読んだ時、深く感銘したのは、シモンの親友「ピエロ」の存在。
SF小説の大好きなピエロは、シモンが熱病で亡くなったと聞かされても「見ていないから信じない」といい、
数年経っても、新しいSF本を見つけるとシモンの部屋の下に立っている。
こんな友人になりたいと私は今でも思っているのだが…