アリエッティ…

 メリー・ノートンの「床下の小人たち」を読んだ。
いつも思うことだがイギリスの児童文学は、構成がしっかりしていて終わりまで矛盾がない。
それに20世紀初頭のイギリスの生活ぶりがディテールの詳しさで、読んでいても
目に浮かぶよう。
丁度お金持ちはインドでさらにお金持ちになった時代。
その時代に子供だったメアリーおばさんが、少女ケイトにパッチワークをしながら
当時を語っていくのだ。
 彼女たちも実際に小人を見たわけじゃないのだが、否定してる風でもなく、
小人の少女アリエッティと親しくなった少年が、このメアリーおばさんの弟で彼から聞いたと語り出す。
弟は戦死したという。
冒頭から、「共演者」の少年の死を話すのも、児童向きだからという甘さもなく、
むしろ小人の存在がだんだん真実味を帯びてくる。
 ストーリー自体は、奇想天外な大事件というものでもないが、少女アリエッティ一家の生活がとても興味深い。
「借りぐらし」ということばも独特の倫理観がある。
盗んだり、奪ったりしたのではない。必要な分だけ「拝借している」のだ。
だから、ナニナニが無くなったと騒動にもならない。
 また邸宅の女主人は寝たきりで、ワインを飲んだ時にアリエッティの父親に出会ったので飲酒による幻覚と
思いこんでいる。家事を取り仕切る女性が何人も見かけたと大騒ぎしても、ひどく怒り、「自分なんか1瓶のんでも
一人か二人しか見えないのに」という発言も面白い。
今ならリサイクルとかの方向に行くかもしれないが、切手も小人の家では素敵な絵だし、たわしも繊維を抜いてつくる。

 去年ジブリが「借りぐらしのアリエッティ」としてアニメにしたが、見ていないので俄然気になってきた。
すると、なんとこんな催しが!*1
明日は用事あるし。ちょっと遠いなあ(今日は夏疲れで昼寝してました)
小人の冒険が5冊あって、第1巻目がこれですが、とても終わり方もよかったので、続編はどうなるのかなあ

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)