手芸家イルゼ・ブラッシさん

 子どもの頃は、母くらいの女性は趣味でレース編みや刺繍をごく普通に出来てしまう人が多くて、遊びに行くと出来上がった作品や、お手本にした雑誌の付録の作品集をみせてもらったりしました。
私は、小学生の頃から絵画教室と近所のお姉さんに刺繍を習うインドア派な子でした。この頃から制作者にも注目していまして、日本名に混じって必ず「イルゼ・ブラッシ」という名前を、あちこちに見て、いつから日本で活躍するようになったんだろう?とこのお名前が忘れられないままに、年月が経ちました。
 オークションで検索すると時々大昔の作品集が出品されていたので、2冊ほど買ってみました。
作品ももちろんですが、本全体に展開している「昭和の暮らし」が素晴らしいです。
これをお手本に刺繍を楽しんだ女性は、こんなハイソな暮らしに憧れたのでしょうね。
モデルの女性のポーズやヘアスタイルも、当時の流行がこれっ!っていうアピール度がインパクトあります。
それでいて、ここのクッションやバッグが、また新鮮で古さを感じさせません。

最近の手芸本ってお手軽なモノばかりで、イルゼ・ブラッシさん位の作品集ももっと紹介して欲しいです。
手仕事の完成度もレベルが高いと、見るだけでも気持ちがいいです。

 と、一人うっとり、古い作品集を見ていると、まさに私が願っていた本が出版されていたんですよ〜
今までのイルゼ・ブラッシさんの「クロスステッチ」での作品を編集した本。
この新しい本によると、彼女はドイツ人の父、日本人の母の間に京都で生まれたそうです。教育も日本で受け、今の同志社女子大卒でした。
来日して普及させたと思いこんでいた私には、ちょっと意外でした。
北欧風なデザインやフランス刺繍も沢山あり、もしかしたら海外の作品の影響も受けていたのかもしれません。
彼女は1968年に59才で亡くなったようですがお弟子さんが今も彼女の教えを継承しているそうです。
この本ですっかりクロスステッチをやる気になり、生地も買ってきました。
嬉しい本です。

クロス・ステッチ―イルゼ・ブラッシデザイン集より

クロス・ステッチ―イルゼ・ブラッシデザイン集より