「ヤング・アメリカンズ・スペシャル・エディション」

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 2005年にこのアルバム30周年として発売が噂され、延期になっていた企画と思われるアルバム。*1
「ジギー・スターダスト」でロックミュージックの中でグラムロックという位置づけをして、その路線のまま行くのかと(次回作の「ダイヤモンドの犬」も近未来のSFがベースでした。)思っていたら、ダイヤモンドの犬ツアーで見る間にソウルへと傾倒して行くのです。
これは、当時かなりびっくりしました。
今ならどんどん変身するのも「売り」のボウイの一片という見方もあるでしょうが、当時は「バイセクシャル」で「宇宙人」のボウイだったんです。
そうそうオアシスの発言も興味深いですよ。*2
ノエルだってボウイを火星人って思っていたんですね(笑) 

 私は、ファンになってからの衝撃度でいうと一番じゃないかなあと思います。
ボウイは、かなり薬物に溺れていて激ヤセのガイコツみたいな容姿でした。
今回初めてTV番組「Dick Cavett Show」出演時のライヴとインタビュー映像が、DVDで特典として付いていますが、インタヴューもなんだか変です。しかし、落ち着きない態度のわりに話す内容はしっかりしていると、字幕付きでわかりました。
黒人ミュージシャンの声色を真似てるような歌唱法,高揚感のある直接的な詩の表現や、アメリカ社会への挑発的な皮肉や隠語。
薬に耽溺しているのは現実逃避じゃなく、つらい現実と向き合うためだったのでしょうか、現実社会を黒人ミュージシャンを演じて直視した全く新しい切り口でした。
このアルバムのすべてに、驚きまくりの私は本当に大好きなアルバムになりました。
ストレートな詩も、英語力ない私にはテンション高いボウイの志ととらえ、心細いとき落ち込んだとき何度も励まされました。
「ヤクチュウのボウイ」の音楽に力をもらう。っていうのも切ない。
全曲大好きですが、バックボーカルとの掛け合いが好きです。
ボウイの歌唱力(ロックともいえない)の見事さ、高音が良く出るのに低音を意識した歌い方。などホント聞き惚れます。

 今回、バックボーカルに思わぬ発見をしました。下のyoutube見てください。
「RIGHT」お稽古中のボウイです。(ドキュメント番組より)
後にブラックコンテンポラリーの神となる「ルーサー・ヴァンドロスasin:B000034CX9」が参加していたんですね!
いつもyoutubeとかで「ヤングアメリカン」を歌うボウイを見てましたが、バックのおっちゃんがそんな未来の大ヒットメーカーとは!彼は大スターとなっても「ラビリンス」のバックボーカルに参加されてますね〜
また、そのとなりのご婦人は「ロビン・クラーク」でカルロス・アルマーの奥さんですが、後にドリカムのバックボーカールとなり、ドリカムの別ユニット「FUNK THE PEANUTS[R]」に参加してます。私、テレビで見た記憶があるんですけど、まさかボウイのバックボーカルでカルロスの奥さんだとはなあ…*3
で、その隣は「アヴァ・チェリー」で当時のボウイの愛人。

 いつも思うことですが、特別な星の元に生まれた人ですね、Bowieって。
このアルバムも、ソウルであってソウルでないところがミソでしょう。ソウルを演じる白人。
(この後、何年か経てビージーズが同じようなことを「サタディナイトフィーバー」で大ヒットします。)
 
 ボウイは、解説によると一回か二回でヴォーカルはレコーディングしてしまったそうで、これも驚きました。
計算し尽くしているような音楽なのに、「ざっとやってしまう」わけかあ。
今聞くと、「ナツメロ」感もあるのですが、それでも大好きなアルバムです。
このアルバム全部のライヴバージョンが見たい!