「『かわいい』の帝国」

 表紙が今風の「かわいい」をちゃんと表現している。
なかなか凝っていて角度でバラの小花模様が浮かび上がる。
サブタイトルが「モードとメディアらと女の子たち」とあるように、「かわいいとは?」をモード現象から書いていています。雑誌の特徴の分析の仕方も、なるほどーと思いました。
最近のかわいいと俗に評されるファッションは、私は「ケバイ感」「不潔感」が強いので、=かわいいとは言いたくないです
モード界からの本なので、仕方ないけど、リンカンランや内田彩仍さん、天然生活ファンションには触れていません。
私はこれも今どきの「かわいい」と思うんだけど。
 けれど、日本のお偉方が財力でアピールしたわけでもないのに、世界中に「かわいい(今風の)好きな女子」が増えているのは快感です。
主に女子が「かわいいとしか表現できない、人、モノ、現象に出会ったとき」ってけっこうありますよね?
この本の初めの方で紹介している調査が、とても面白いです。
チューリップとバラでは92.2%がチューリップのほうがかわいい、いちごとりんごでは、88%がいちご、うどんとそばでは92.9%がうどんのほうがかわいいと思われたそうだ。
この回答なんとなく、私も同感なので可笑しかったです。
 最後の方は古賀先生が「『かわいい』についての覚え書き」されてるような、論説が展開されていて、力作です。
私なら、「かわいいは役にたたないが魅力がある!」といいたいですね。
私の「かわいい」対象とは、ちょっと路線が違いますが、30年後位に「そうだったのかあ、この時代のかわいいって。」と貴重な時代考証学本になると思います。

「かわいい」の帝国

「かわいい」の帝国