安西水丸さんと沢野ひとしさん

先月イラストレーターの安西水丸さんが脳内出血で亡くなられた。享年71歳と知ってびっくりした。
「アルネ」のモデルさんした時も素敵でした。
熱烈なファンではないが、こんな大人になりたいなあと思わせるお一人でした。
私が、とても好きだったエッセイ集は「ぼくのいつか見た部屋」で、様々な人たちのお部屋をイラストともに紹介しています。
好きだったのに、見つからないのが残念です。
水彩画のタッチ、薄いみずみずしい色使いが好きでした。
その本の中でも紹介している「スノーボール」のコレクターでもあり、大人になってもこういうものが好きって言うのが、また好きなんです。
また、本に書いてあったので、ちょっと記憶が怪しいのですが、センスのいい若い友人に、毎月一万円分、彼の薦めるCDを購入してもらってるっているという話も好きです。私もこういう心の贅沢ができる大人になりたいと思いました。
なんかここ数年、携帯で簡単に音源が見つかったり、電子ブックが入り込んだりして、友達の家でわくわくしてCDや本棚の本をチラ見することもなくなったような気がします。便利だけれど寂しい気もします。 

 今日は、近々来客があるので雑誌も片付けてたら、週刊文春4月17日号の阿川佐和子さんの対談のお相手が「沢野ひとし氏」でした。たくさん共感してしまいました。この人は好き嫌いあるでしょうが、私は好きです。
いくつになっても自分だけの心の自由をもってる人だなあ。
 春になって職場も新しい体制になり私の向かいに、新人の才女がやってきて秒速で知恵を上乗せするのをみて、緊張しまくりの私。
安西氏の涼やかさ。沢野氏の前向きな自由な暮らしぶり。いいなあ…

ぼくのいつか見た部屋

ぼくのいつか見た部屋

アイリーン・ベッカーマン

「クウネル」最新号に、アイリーン・ベッカーマンさんが登場しています。
ご健在でうれしいなあ。

 彼女は60歳の時「あのとき私が着ていた服」という本を出版しました。
1950年代が青春時代だった頃の、ごく普通のアメリカの女性。
彼女は洋裁のとびきりうまいお母さんに事あるごとに洋服を作ってもらったという
素晴らしい思い出がありました。
しかし、おかあさんは思い出を残し12歳の時に他界されます。
でも周りのまたおしゃれな親友やそのお母さんにも愛され、その半生を、イラスト付きで
60歳の時に本にしたのです。
当時の思い出のままに少女のアイリーンを描いたイラストは稚拙ともいえそうですが、
文章を読むと、素敵な服の思い出には必ずしも幸せなシーンばかりじゃなかったとわかります。
でも79歳の今も、前向きに暮らしおしゃれなアイリーン。
私は、この本が大好きで、真似したいと思っていましたが、意外と着ていた服の細部までは憶えていないもんです。
それと、漠然とですが、心も生活も豊かな時代のアメリカを想像しますね。

「クウネル」時々こういう嬉しい記事があったりしますねえ。

あのときわたしが着ていた服

あのときわたしが着ていた服

ku:nel (クウネル) 2014年 05月号 [雑誌]

ku:nel (クウネル) 2014年 05月号 [雑誌]

「LIFE!」

 久しぶりに映画を梅田で観てきました。
まったく予備知識なしで観ましたが、私が一番今見たかったと思わせる映画でした。
春にぴったりです。
何事も自信のない男が、あるきっかけで生まれ変わる。
一行で済む内容ですが、とても好きなシーンがたくさんありました。
空想癖があり、突然こうならなあと主人公が願う空想が、映画の中では実現するのも
あまりのばかばかしい空想で大笑いです。
ホントにばかばかしいんです。エレベーターの中で必死に上司とゴム人形を取りあいするとか。
私ってこういうのが、また好きなんですね。おなかが痛くなるほど笑い転げました。
でも別な空想に、好きな女性がデヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」を歌って励ましてくれるシーンや、著名なカメラマンを追って、空想さえ超える旅を続けることになる主人公の強い意志とか、かなり感動です。
スクリーンにのめり込みます。
そして、後半のカメラマンの行動。(目の前珍しい豹を観ることだけで満足して撮影はしなかった。)は考え深いものでしたし、
最後の最後も泣きそうに感動しました。
これだけネタばれすれすれに書いても、映画の魅力は失われてませんよ。
http://www.foxmovies.jp/life/

LIFE! オリジナル・サウンドトラック

LIFE! オリジナル・サウンドトラック

LIFE! オリジナル・サウンドトラック

ソチオリンピック

 ちょっと仕方ない日程でしたが、試合がほとんど深夜から明け方でしたねえ
やっぱりどうしても、フィギュア・スケートはライブ観戦したくて男子ショートとフリー、
女子ショートとフリーはほぼ徹夜で応援しました。
どれも、心臓が飛び出そうなほどバクバクドキドキで異様な疲れ度で、そのまま出勤すると気持ちはソチから戻らずぼーっとしたまま。
私も若くないんだとこんなことで実感しました。
 オリンピックの演技勝敗もですが、それぞれの選手の背負っているドラマがいろいろありすぎて、
重苦しい気分がまだ消えないでします。
プルシェンコの存在感(怪我で試合前に棄権すると、ぞろぞろ観客が帰って行った。)
新女王ソトニコワと新王子羽生君のメンタルの強さ。これからが気になります。
高橋大輔町田樹浅田真央の去就。
マカロワも辞めたというし、海外のこの数年演技を楽しみにしていた選手が何人も引退を発表していて
オリンピックを「集大成」と呼ぶのも重いなあ。*1

 そして
ロシアって乙女ちっくな国にいつの間にか変貌していたんですねえ
開会式の冒頭のキリル文字のかわいい紹介や、トルストイの「戦争と平和」の舞踏会シーンを
バレエで芸術的で豪華に展開したり、雪の結晶の効果的な使い方とか。
ロシアの演出が素敵でした。
2時間に編集して、永久保存版BDを作りました。(*^_^*)
私は前からオリンピックが好きで、特に開会式のわくわく感が大好きです!
ちなみに一番好きなのは「バルセロナオリンピック
坂本龍一の音楽、ガウディをイメージさせる夢のような巨大な人形たち。
もう一度見たいなあ

高橋大輔選手

 今年はオリンピックシーズン。
スポーツ選手にとってオリンピックは何とも言えない魅力があるという。
フィギュアスケート高橋大輔選手も、「ソチ(2014年冬季オリンピック会場)が、新たなスタート地点にしたい」と語っていた。
私は、もしかしたら来年引退かもしれないから、今年は出来るだけ(海外は無理だけど)会場で応援しようと思っていました。
 しかし、波乱の一年だったなあ
みんながチケット取りに、苦労している割にはNHK杯以外は行きたいアイスショー&試合も、ネットでわりと簡単に当たった。
偶然近くに座っただけのご縁で友だちもできた。
その友人繋がりから、オフ会的な集まりに初めて参加させていただいた。
私の近くには、高橋大輔ファンはたった一人しかいなので、短い時間だったけど「高橋大輔を応援する」繋がりでしかないのに、
なんだなんだこの楽しさは!と濃いお仲間に混ぜてもらえてすっかり幸せ気分でした。
 秋になり、母が亡くなり、10月に入ってJAPANOPEN2013、グランプリファイナルアメリカ大会での高選手をテレビで何度も見るのが就眠儀式なほど惚れ込んだプログラム。母も大輔って呼び捨てにしてるほどファンだったなあ
グランプリファイナル福岡も、ラッキーなことにジャッジ側ひと桁列をゲット。
一緒に行く友人とお互いの立て替え代金の計算も完了!有休届も出して12月5日を待つばかり。
ところが、高橋大輔選手、練習中に右足脛骨挫傷、グランプリファイナル欠場…
前回のときも、スターズ・オン・アイスアリーナ席当たったのにーとがっかりしたなあ。
グランプリファイナル韓国だったのに取りやめしたんだわ。
あの頃よりは動じていない。

 今回は、どうなるかわからないけど、(もちろんオリンピックに行かせてあげたい!)応援し続けるだろうなあ
と、だけは確信できる。
なぜこんなにファンなのか。それは演技を見ていると幸せになれるから。これに尽きるかなあ
*1sumirereのブログ

先週、私の母が亡くなりました。享年94歳。
4月に施設で会った時は、エレベーターまで見送ってくれたのに、
風邪を引いて入院してからの、母は会話もするのだが表情が乏しくなり、
どんどん覇気がなくなるようにみえました。
それでも8月には髪がぼさぼさだったので3種類のカチューシャを買って持っていくと
丹念に選び、看護士さんが男前だね!と私が言うと「今はね、イケメンっていうんだよ」と、
おしゃれ心もユーモアも失っていない気がして、ホッとしました。
しかし。
9月は別人のようでした。
ここに書きたくないほど、ショックでした。
辛い状態だったけど、鎮静剤が効いてその母を見たのは私と姪だけだったのも、よかったと今は思えます。
最後の2週間ほどは、兄の家族に見守られ、静かに眠る日々だったようです。
携帯で甥が、「容体実況」をしてくれるのに、逆に今逝こうとしてる実感がわきませんでした。

私は、兄と二人兄妹で、兄とは13歳離れています。
親戚中でも一番年下なので、私はこんなおばさんでも○○子ちゃんと今も呼ばれてます。
母には絶対長生きしてほしいと、子供のころから願ってました。
両親が、友達の親より高齢だったので、子供のころはよく私を置いて死んでしまう夢をみて
枕を濡らしてました。

私の望みを叶えてくれて、ありがとう!!

今年私は、大阪から札幌に6回行きました。
今年ほど札幌は遠いなあと、思ったことはないです。

さびしいけれど、精いっぱい戦中戦後を苦労して生き抜いてくれた母に感謝でいっぱいです。

「メランコリア」

はじめに、一瞬を切りとられたような女性(苦痛になるほど美しくない)のアップが続く。
時々登場するブリューゲルの絵、延々と流れるワーグナーの音楽。
それは何を意味するのだろう。
監督の終末観を象徴するアイテムなのかなあ
と、どちらかというと暇つぶしに録画しておいた「メランコリア」を冷ややかに見たのだが、
圧倒されました。
今年、私が観た映画ベスト1でしょう。
女優としては、こんなに長いことアップして見たくないわなあと思うがっしりした顔立ちの主人公が
次のシーンで花嫁ジャスティンとして登場すると、驚くほどキラキラ輝くように美しい。
反対に姉クレアはやせ細り、妹の結婚式でも心配ばかりしている。
ややっ!このひとジャルロット・ゲンズブールじゃないの!
あの「なまいきシャルロット」(大好きな少女映画)が、こんな気遣いで成り立つ悲しい女性役とは!!
そして、母親役はシャーロット・ランプリング
ここでも存在感あって、まなざしの妖しさも健在だ。
娘の結婚を罵倒したくて、パーティに出席してる母なのだ。
それでも大きなお屋敷で、人生最高のイベントにはしゃぐ主人公が、前半。

後半は、とてつもないスケールで静かに崩壊へ進む。
メランコリア」という惑星が太陽の裏から出現し、軌道が地球の軌道と重なる可能性があるという。
翌日になって科学者の姉の夫も可能性はないと言いつつそわそわしだし、姉も不安感で落ち着かなくなる。
結婚式で大失敗して落ち込む主人公が、メランコリアに対して一番「ふつう」なのが感動ものだ。
とくに夜のメランコリアを一人仰ぎ見るシーン。
なんて美しい光景なんだろう。
「魔法のシェルター」は、巨大惑星メランコリアに大接近された小さな地球が出来る最後の「知恵」だった。
この美しいラストシーンは、地球にしかできないもの。

全部見てから、ごく自然にもう一度最初のシーンを即見た。それほど余韻が残りました。