「美の巨人たち」

http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/frame/frame3.htm
大好きな番組だが、昨夜も画家「長谷川りん二郎」を初めて知った。
「知る人ぞ知る"神話と伝説"の画家。超寡作な画家だったりん二郎は、小さな作品一つを完成させるのにも何年もかけました。描くことが遅く、10年かかった作品もあるといいます。」
それが殆ど小品な上に、決して厚塗りな画風でもないのだ。
この猫でいえば、この形態でお昼寝するのは気候の室温と関係があり、
同じ格好でお昼寝するまで一年まち、ひげを描き忘れたためまた一年待つうちに猫は亡くなってしまったそうだ。
そんなわけで、この絵も6年の歳月が。
とにかく変わっている。
 素人の私がココでいうのは率直な感想でしかないが、立体感がない。デッサン的に
変だ。でも必ず写生をしながら描く姿勢。長い年月を掛けて絵と対座するこの画家、
「意図的に」こういう画風にもっていったのだろう。
写実的で心象的。
現実に生活し、身近なもの静物画ながら、生活感がまるでない。
不思議な静寂さ。
コレクターの方が「落ち着く」とおっしゃっていたのが、とてもよくわかる。
画家は、描くことが大好きだったに違いない。
愛情込めて、見たものを、納得いくまで自分のフィルターを通して描いたのでしょう。
私は「猫」の絵のビロードのようなつやつやした毛並み、なんとも気持ちよさそうな寝顔が
忘れられない。
84歳の人生をこのように、慎ましく(画壇とのお付き合いもなく)画家として生きたと
知ると、私は、同じ番組で知った「関根正二」を思い出した。
こちらは激しく生き、「みつほし」という傑作を残し20歳で夭折した。
短命を自分に課すかのように、結核の友人とも積極的に接する。
対照的だが、どっちの絵も忘れがたい魅力がある。
私に沢山の画家といきざまを見せてくれる、この番組は奥が深い。