これも「現代美術の皮膚」?

 特に期待して鑑賞していたわけでもないのに、先週末に見た国立国際美術館「現代美術の皮膚」が忘れられません。
芸術とは、印象の深さ、どう余韻として残るかも、私には大事なポイントです。
ただただ美しい絵画も、今回のような眉間にしわが寄るような作品も、直に見るのはやっぱりいいなあって思うのです。
あの時、なんだこれは!と呆れた整形手術パフォーマンス写真も鮮明に憶えているのは何故だろう。
ぶら下げられた等身大の手足が「夜」という題名なキキ・スミスの作品も、不思議な光景として忘れられません。恐怖感はないですが、なんでコレを?っていう不思議な印象。

 私は忘れられない光景があります。
父はちょっと変わった人でした。
父が亡くなってから愛用の石鹸を見ると、髭を剃ったあとの「細かい髭」が石鹸に塗り込められていてチクチク毛の生えた石鹸になっていて「なにこれ〜」っと驚いた記憶があります。
また、自分の寝床のそばにいつも小さな金庫が置いてありましたが、何が入っているか誰も知りませんでした。死後、不謹慎ながらもわくわくと家族で鍵を使い開けて見ると…
なんとなめ茸の佃煮のガラスのビンにびっしり自分の足の爪が入ってました。
「このビン好きだったんだよ、外出するときも水いれて持ち歩いてたもの」と母がいいました。
ビンじゃなくて「爪」に感想を言った人は誰もいませんでした。
でも、今になって思うのだけど、父は生きていた証として残したかったんじゃないかなあ。
(速攻捨てちゃいましたけど。)
「髭のはえた石鹸」「金庫に眠っていた足の爪入りなめ茸のビン」って「現代美術の皮膚」展会場に、きっと馴染むのじゃないかなあ。
キレイなお話じゃなくてごめんなさい。