「亡き王女のためのパヴァーヌ」

 NHKhiの「名曲探偵アマデウス」は、私のようなクラシックも広く浅く好きな者には、とっても面白い番組です。
いつも好きな曲紹介の時だけ録画してますが、やっとラヴェルのこの曲特集を見ました。
筧利夫が探偵で助手と一緒に、訪れたゲストが持ちかける曲にまつわる謎解きを、小芝居入りで展開なのですが、一曲に45分かけるのは贅沢だなあ
 今回も永久保存にしたいくらい、この曲の魅力を深く掘り下げてました。
空虚5度とか引き伸ばされるケイリュウ音とか、技法的に証明される魅力を語り、また「王女」とは誰だったのかと考証するのも興味深いものでした。
一般に有名なのはベラスケスの肖像画で有名な「王女マルガリータ」だそうですが、鹿島茂氏はスペインの王女の意味もあることや他の深読みで「アンヌ・ドートリッヒ」や「ポリニャック大公夫人」を、また山本容子氏は物語のイメージを音楽にしたとミレー画の「オフィーリア」を掲げてました。
 
 私はこの曲が子供の頃から大好きでした。
いつも今ごろになると、自然に聞こえてきます。
私にとってこの曲の「王女」とは、「夏」でした。
夏の終わりに空が澄み切って、うろこ雲が見えると、私のなかで「夏」がパヴァーヌ(ダンスの一種)を踊って去っていくように見えました。
 久しぶりに夏が大好きで名残り惜しく、9月の空を仰いだワタシに戻りました。
(昔は無口で空想好きな少女だったんです!)
 
 そして今は、この繰り返すロマンチックな旋律に、お葬式にいいなあと思ってしまいました。
でも王女って恥ずかしいなあなんて番組を見てると、プルーストは自分のお葬式にこの曲を希望したそうです。
そして24歳で作曲したラヴェルは、失敗作と語りながらも、晩年は事故による記憶障害で作曲したことも忘れ「いい曲ですね」と言ったそうな…
うーんホントためになったなあ〜