雑誌「ユリイカ」総特集稲垣足穂

私の「気分」と世の中の嗜好が珍しく、ぴったり合いました。
「イナガキタルホ(カタカナが似合うね)」なんですよ〜今、私の読みたい作家は。
こういう雑誌が、「ほらっ」と降臨してくると、全くミーハー冥利に尽きますね、
イナガキタルホは、1977年に76才で亡くなっていますが、今読んでも全然古さを感じません。
とても品性のあるお屋敷育ちの少年なぞ登場しますが、戦中戦後を生き抜き、売れっ子作家の作風とは対極ですし、アルコールにも溺れました。
私が一番好きなのは、「表現力」の素晴らしさです。
タルホ宇宙は果てしがありませんので物理学的な作品はパスしてますが、彼でないと書けない発想、目線、感覚が素晴らしいです。
結局、好きな短編を何度も読んでしまいます。ベストは「薄い街」かなあ
戦争という大きな渦に次第に国中が巻き込まれていく時代に、スタイリッシュな情景を
スマートに(!)文章のなかで、まるで別の世界のように書けた作家です。
「6月の夜の都会の空」にこだわるのも「物事のお終いが好き」なのも「結び目がほどけた気分」になるのも、昔から読み重ねた、イナガキタルホの文章のフィルター越しに魅せられているからです。
まだ昨日買ったばかりで全部も読めてませんが、昔からのタルホ関係者と、最近のタルホファン、それから濃いーーK氏の取材!バランスいいです。
そして、荒俣宏氏とあがた森魚氏の座談もうれしい〜
あがたファンでもある私ですが、タルホを先に読んでいたので、あがたさんもタルホファンと知って、「やっぱりー」と妙に確信したのでした。
彼のアルバム「乗り物図鑑」にイナガキタルホの声が入っていると知った時は、「なななんですっとお!」と驚きました。
また、また今日はタルホつながりである方を知りました。*1
そういう、道のり。
なんともとにかく「イナガキタルホ」を読んできて良かった〜

ユリイカ2006年9月臨時増刊号 総特集=稲垣足穂

ユリイカ2006年9月臨時増刊号 総特集=稲垣足穂