「宇宙を駆ける男」

「K-PAX〜光の旅人」を見ながら思い浮かべたのが、何年も前に図書館で借りたこの本でした。
作者「ロバート・リンドナー」は精神科医が本業で、この本は様々な患者さんの臨床例が短編小説集のようにぐいぐい読ませます。
若かった私は、こんな面白い人たちと毎日会えるなんて楽しそう♪とおばかな感想をもった程です。
倉田江美が少女漫画で一部紹介というか、起用していたことがあるのでエピソードもご存知の方も多いかも。
特に表題の「宇宙を駆ける男」の話が一番印象に残っています。

 ごく普通の会社員が勤務中にぼーっとしていることが多くなり、上司に注意されます。
すると彼は、「すみません、これからはなるべく地球にいるように心がけます」といいます。
彼はある星に光速(?)で行ったり来たりできるというのです。
(これが「K-PAX〜光の旅人」と同じなんですね)
その星の地図、言葉、文化。医師の「ロバート・リンドナー」が、いくらカウセリングしても理路整然として矛盾点が見つかりません。
で彼は宇宙人かというと地球人だったんですねー
いろいろなトラウマがあったわけでそうなったんですが、私が見事だなあと思ったのは「そんな星はない!」と
最後には彼に自覚させたんですねえ。
心の中に全く別な星を持ち、その星での生活を営むなんて、人間の想像力って素晴らしいし、それを地球に引き戻させる力もあるというのも凄いなあって読んだ当時は思いました。
今は、何事も客観視できないほどのめり込むのは危険だと、年を重ねてチョット学びました。
この素晴らしい医師にもっともっと続刊を期待してましたが40代で亡くなったのも残念です。
古本屋さんで見かけたら是非!

宇宙を駆ける男―精神分析医のドキュメント (1974年)

宇宙を駆ける男―精神分析医のドキュメント (1974年)